さて、「セルフメディケーション」という言葉があります。
これは、「自分の健康は自分で守る」という意味です。
医療機関を過度に頼ることなく、自分で病気を治療していくという意味もセルフメディケーションに含まれます。
巷にドラッグストアがあふれているように、また、いまではインターネットでも薬が買えるように、現代は、「自分の健康は自分で守る」セルフメディケーションに適した時代だということもできるでしょう。
しかし、ドラッグストアで購入できるような比較的安全性の高い薬であっても、注意しなければならない点はいくつもあります。
例えば風邪をひいたとき、風邪薬を安易に使用して熱を下げるのは必ずしも得策であるとは限りません。
また、頭痛を抑えるために痛み止めの薬を使用し続けていると、頭痛が余計に悪化してしまうこともあります。
ドラッグストアで誰でも購入できるような薬であっても、胎児に奇形をもたらす可能性のある薬もあれば、インフルエンザのときに小児が使用すると脳症のリスクを増大させる薬もあります。
こうした薬の予期せぬ危険性を理解するためには、薬についての基礎的な知識が必要です。もちろん、専門的な知識は必要ありません。しかし、少なくとも自分が服用するような薬については、ある程度の知識があってもいいのではないでしょうか。
私は薬剤師としてそのように考えています。なぜなら、私は薬に関する相談を多く受ける中で、基礎的な知識のないまま薬を服用している人が大多数であると常に感じているからです。
中には、自己判断で誤った使い方をしている人も見かけます。
要は、私たちは薬に関する適切な知識を持たなければならないということです。自分が服用する薬だけでなく、家族などの親しい人が使用する薬がどういう種類の薬なのかを知っておくことも重要です。
そのためには、医師や薬剤師が発する専門的な言葉をある程度は理解できるようになる必要があります。
(続く)